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ティア、アニス、ダアト厳しめで、二人とは違うスパイで監視者な新総長ネタを思い付いたので、少し書いてみました。
ネタはあるものの続きを書くのかは未定なのですが、・・・・・・需要あるのかなこれ。俺得すぐる。

神託の盾騎士団の総長は、アッシュが騎士団に残るとは思えませんし、カンタビレはゲーム中には出てこなかったので、本編に登場する中には次の総長になりそうな人がいないんですよね。
イオンの後の導師は、預言で選ばなくなったならトリトハイムさん辺りがいるのですが。

あれだけ騒動が相次げば、教団が抱える軍事力は危険視されそうですし、教団に残りそうなティアはあの通りですし、
教団の行く末以上に、神託の盾騎士団の行く末は暗そうな気がします。





ローレライ教団の本拠地、ダアト。
                              ・ ・ ・
教団を守護する神託の盾騎士団の新しい総長を迎えた喜びと、明るい未来への期待に沸き立つ街の中で、反対の感情を浮かべた女がふたり、顔を憎々しそうに歪めて不満を吐露しあっていた。

以前と同じ神託の盾騎士団の軍服を身に纏うティアと、かつての導師守護役のそれとは違う教団の制服を纏うアニス。
二人とも背は伸び、容姿は大人びたものに変わっていたが、その内面にはさして変化がなく、そして新総長の青年を見つめるティアの目は、出会った頃のルークをへ向けていたものと同じだった。

新しい神託の盾騎士団総長をキムラスカ貴族の子息から迎える。

それを聞いた時からずっとティアの胸には不満と、侮りと、矯正への熱意が溢れんばかりに漲っていた。


平和条約の締結以来、キムラスカとマルクトの関係は急速に改善されていった。

ケセドニアを介して間接的に行われていた輸出入は直接行われるようになり、人の行き来は活発になり、キムラスカは食糧難解決のためにマルクトから農業の、マルクトは譜業や音機関の高い技術を取り入れるためにキムラスカから工業の、技術者や学者の招聘や技術協力も活発に行われ、減少した音素の有効活用や、代用資源の研究など共同で行われるものも多かった。

その円滑化のために、長く独身を通していたピオニーはキムラスカ王族の血を引く公爵家の姫を皇妃として迎え、王妃を失くしてから同じく長く独身だったインゴベルトも、マルクトの傍系皇族の姫を新しい王妃として迎え、キムラスカ王室とマルクト皇室の姻戚関係を成立させた。
将来的には間に生まれた子供が帝位を継承すれば、キムラスカとマルクトの君主が血縁を持つことにもなる。
インゴベルトの方は老年に加えて、キムラスカでは王位継承に赤い髪と緑の眼が優先されるため、順当に新王妃の産んだ子が継承するとは限らないが、既に第二王位継承者の──ナタリアがインゴベルトの実子ではないと分かったことと『ルーク』との婚約解消によって王女の身分は保ったものの王位継承権を失ったため繰り上がった──ファブレ公爵子息ルーク・フォン・ファブレと、やはりマルクトの傍系皇族の姫との婚約が成立しており、もしもルークが次期国王になったとしても、マルクト皇室との姻戚関係は継続されることになっていた。

だがキムラスカとマルクトとの関係改善に引き換え、両国とダアトとの関係は改善するどころか、冷え込むばかりだった。

キムラスカでもマルクトでも君主の側近や相談役から教団の人間は排除され、政治への影響力は激減していた。
財政面でも貴族や富裕層からの寄進が激減したのに加えて、両国の直接の輸出入はケセドニアでの関税が収入源になっていたダアトの財政を更に悪化させ、更にはアスターを始めとするケセドニアの商人までが、泥舟から新しい船に乗りかえるかのように、教団よりもキムラスカ、マルクトに乗りかえる動きを見せていた。

元々ケセドニアの裕福な商人たちは、両国の貴族に成り上がるために貴族との関係や縁を持つ者が多く、王侯貴族がダアトへ幻滅どころか悪意を向けているとなれば、ケセドニアへも影響する。
その上に、インゴベルトとピオニーは、両国の研究や開発への商人の投資協力を求め、高い功績を挙げた者への貴族認可状を出して、貴族層へもケセドニアからの受け入れを積極的に行い、ダアトと手を切り両国に寄った者には、失った関税の旨味に代わる利便を図った。

明らかに、キムラスカとマルクトは手を組んでダアトの力を削ごうとしていた。

不満があっても、為政者や貴族の預言離れが進み、警戒されている現状では今までのように世を動かすのは困難で、裏の活動資金どころか、表で神託の盾騎士団の経費を捻出するのにも苦労する有様だった。

そのキムラスカ、マルクトとの関係改善を図る一手がこの新総長の選出であった。

先代の総長ヴァン・グランツが多くの部下を率いて引き起こした数々の惨禍とレプリカ大地計画。
ヴァンが打たれて計画が潰えた後も、大罪人を出した神託の盾騎士団への風当たりは冷たく、新総長は空位のままだった。
一時はヴァンやモースと対立して遠方に飛ばされていた、六神将の最後の一人第六師団師団長カンタビレをという声もあったが、呼び戻されて以降以降騒動の尻拭いやらヴァンと他の六神将の抜けた穴の補填やらで過労で倒れるほど酷使されたカンタビレは、もううんざりだと言わんばかりに固辞し続けて一師団長に留まり、無理に総長にしようとすれば神託の盾騎士団を抜けかねなかった。
元特務師団長のアッシュは最終的には袂を分かったとは言え長くヴァンの部下だったことと、既に正式に神託の盾騎士団を脱退して今はキムラスカの公爵家に戻り、贖罪と勉学に励んでいることからやはり無理だった。

そこにようやく就任したディートリッヒ・フォン・シェーンベルクは、キムラスカ貴族シェーンベルク侯爵家の次男で、母親はマルクト貴族、その母はマルクト皇女というマルクト、マルクト皇室との血縁関係も持っていた。

今まで内部から選んでいた総長を外部から選ぶことから反対意見も少なくはなかったが、それでもキムラスカ、マルクトとの関係改善へ期待しての賛成が大きく上回り、新しく導師となった穏健派の筆頭トリトハイムや、モースに代わる大詠師や詠師たち有力者が決定したことを、ティアやアニスに覆す力はなかった。

外部からというよりも何よりも、貴族のお坊ちゃんが上に立つことがティアには気に入らなかった。
貴族のお坊ちゃんなど、箱入りで世間知らずで、知識も能力も覚悟も足りない、自分よりも何もかもが劣った甘ちゃんに過ぎない。
ティアはそう思ってきたし、出会った頃からのルークの態度がそれに拍車をかけていた。

ルークは、ティアに礼儀も払えず、気遣いもできず、ティアを苛々させるような振舞いばかりで、背中を預けられる相手だとも思えない頼りなさだったのだから。
それを叱りつけ、正しいことを教え、矯正してやったのはティアにとって誇らしい記憶だった。
ルークがティアの想いを受け入れず、別の女性と婚約して、ティアを避けるようになった今ですら、想い合っていたのに無慈悲な政略結婚に引き裂かれたという嘆きに浸るばかりで、ルークに拒まれ避けられる原因が自分にあったなどとは欠片も思っていなかった。

かつてのルークのような態度は、貴族のお坊ちゃんというものは正されるべき間違った存在だという見方を疑わないティアには、それが部下や生徒ならともかく、上司になるなど到底認められなかった。
間違いは正すべきだ、過去に正せたのだから今回もできる、そう暗い気持ちを抱えながら明るい未来を確信していた。







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